研究について

研究の概要

2019年12月から中国の武漢市で新型コロナウイルスによる肺炎の集団発生が確認されました。それ以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界で発生し、多くの感染者並びに死者が報告されています。新規のウイルスによる感染症であるため、COVID-19の治療方法は非常に限られており、薬剤の有効性・安全性についてもまだ十分検討されていません。どのような方が重症化しやすいか、妊婦や小児の患者さんなどにおいてどのような経過をたどるのかなど、科学的根拠も限定的です。

国立国際医療研究センターは、全国のCOVID-19と診断された方に参加していただき、重症化する方の特徴や経過、薬剤投与後の経過など、COVID-19に関する様々な点について明らかにすることを目的とした観察研究(レジストリ)を開始しました。

本研究は、COVID-19患者のうち、入院した症例を悉皆的に登録するレジストリ研究(後ろ向きの観察研究)です。COVID-19の臨床経過に関する情報を悉皆的に登録し解析することで、重症化する方の特徴や経過、薬剤投与の経過など、COVID-19の臨床像や治療薬候補の効果に関する様々な点について明らかにすることを目的としています。

さらに、将来の治療法の開発や新薬などの迅速な開発の基礎データとなることが期待されています。

本研究は2020年度から、厚生労働科学研究費補助金により「新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の実装のための研究」として開始しましたが、2021年度より厚生労働省委託事業である「新興・再興感染症データバンク事業ナショナル・リポジトリ(REpository of data and Biospecimen of INfectious Disease(REBIND)」の傘下で実施しています。 REBINDは、厚生労働省が実施する公的バイオバンク事業で、国立国際医療研究センターと国立感染症研究所が中心となって実施しています。

研究代表者

国立研究開発法人国立国際医療研究センター
国際感染症センター長  大曲 貴夫

研究参加について

研究参加対象の医療機関

本研究は、COVID-19入院症例を悉皆的に登録することを目指しています。薬剤の投与に関わらず、COVID-19患者が入院したすべての医療機関に対して、本研究への参加と、レジストリへのデータ提出をお願いしています。研究参加手続きについては、参加方法をご覧ください。

参加条件について

このレジストリ研究に参加するには、下記の2点を満たす医療機関である必要があります。

  • 本邦においてCOVID-19症例を入院患者として受け入れた医療機関
  • 本研究にかかる倫理審査委員会の承認通知書*を得ていること

    *自施設の倫理審査委員会の承認通知書 または
     国立国際医療研究センター 中央一括倫理審査委員会の承認通知書

データ利用について

データ利用規約を参照。

登録する情報

診療記録から得られる以下の情報の登録をお願いしています。

1)基本情報・人口統計学的情報・疫学的情報

生年月日、生年月、イニシャルのうち各参加機関の規則において提供可能なもの
COVID-19発症日、入退院日、転送歴、生活習慣、出生国、人種、COVID-19罹患に係る疫学的情報、基礎疾患・併存疾患、内服歴・治療歴、妊娠の有無(女性のみ)、身長・体重、以前のCOVID-19感染歴や血清抗体価陽性歴など

2)入院や治療に関する臨床情報

バイタル、症状や徴候、意識レベル、酸素療法の状況、身体活動状況、ICU管理の有無、人工呼吸器装着・ECMO装着・気管切開・輸血等の有無、透析等施行の有無、薬物投与の状況、有害事象の発生、合併症、転帰、臨床検査結果、臨床画像所見(胸部X線やCTでの肺炎の有無)など

3)感染症学的情報

SARS-CoV-2 Virus PCR 検査結果、その他病原体検査

4)その他

・妊婦: 妊娠期間、妊娠中の異常、妊娠転帰など
・小児: 出生歴、ワクチン接種の有無など
・その他WHO Case Report Form ISARICの情報

セキュリティポリシー

1. 基本的考え方

国立国際医療研究センター(以下「当所」という。)では、COVID-19 REGISTRY JAPAN(https://covid-registry.ncgm.go.jp 以下「当システム」 という。)において提供するサービス(プラットフォームによる情報提供、当所及び当システムに関するお問い合わせ等)の円滑な運営に必要な範囲で、当システムを利用される皆様の情報を収集しています。収集した情報は、利用目的の範囲内で適切に取り扱います。

2. 収集する情報の範囲

医療機関名、施設所在地、担当者名、メールアドレス、電話番号等の情報を収集します。

3. 利用目的

2.において収集した情報は、当システムが提供するサービスを円滑に運営するための参考として利用します。

4. 利用及び提供の制限

当所では、当システムで収集した情報について、法令に基づく開示請求があった場合、本人の同意が得られた場合、その他特別な理由のある場合を除き、3の利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は第三者に提供いたしません。ただし、統計的に処理を施した当システムのアクセス情報、利用者属性等の情報については 公表することがあります。

5. 安全確保の措置

当所は、収集した情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他収集した情報の適切な管理のために必要な措置を講じます。

6. 自己に関する情報の開示

当システムにおいては、お電話・メールなどでお問い合わせいただいた内容を除き、氏名、生年月日その他一般的に 特定の個人を識別することができる情報を収集しておりません。

7. 適用範囲

本プライバシーポリシーは、当システム(https://covid-registry.ncgm.go.jp/ )および当システムにリンクされている関連サイトにおいてのみ適用されます。

沿革と進捗状況

  • 2020年3月2日   研究開始
  • 2020年3月17日  REDCapでの症例登録開始
  • 2020年4月16日  COVIREGI-JPウェブサイトの開設
  • 2020年5月19日  1000症例を突破
  • 2020年9月24日  800施設を突破
  • 2020年10月5日  10000症例を突破
  • 2021年2月17日  900施設を突破
  • 2021年4月1日   REBIND事業として一部運用開始
  • 2021年5月27日  40000症例を突破
  • 2021年9月17日  50000症例を突破
  • 2022年2月21日  60000症例を突破
  • 2022年3月25日  ダッシュボードをウェブサイトに公開
  • 2022年8月15日  70000症例を突破
  • 2023年1月30日  80000症例を突破
  • 2023年11月27日 90000症例を突破